腰痛
腰痛の大切なポイント
- 骨盤と腰椎の構造的ゆがみを調整する
- 腰から全身へつながる連動性を調整する
- 腰の前から影響をかける内臓下垂を改善する
腰痛はとてもポピュラーですが、一口に腰と言ってもその特徴は千差万別です。
「腰」は身体の要であり、身体の使われ方や癖など全身の状態を映し出します。
だからこそ、腰痛はその場所や痛みの質なども含めた全身の影響をしっかり考慮することが大切です。
- →「ぎっくり腰」といわれる激痛を伴う腰痛には[腰椎3番の異常]が観られる
- →PCなどの目や頭を使う人は[腰椎1番の異常]が観られる
などの特徴や、ヘルニアなどの病変の有無もしっかり確認したいところです。
当院では、
腰の状態を①構造的②内臓的③連動性の面から多角的な視点からしっかりアプローチします。
①腰の”構造的”な問題で重要な2つのポイント
腰の構造的な特徴といえば、
- ①骨盤の上に5つの腰椎(腰の背骨)が積み重なっている
- ②腰椎は骨盤の真ん中に収まっている”仙骨”を土台としている
ということが挙げられます。
極論を言えば、腰はこの2点に問題がなければ安定し、不調を起こすことはかなり少なくなります。
①仙骨がしっかり腸骨に挟まれて、骨盤が安定している
よく骨盤は身体の土台と言われますよね。
それは骨盤の真ん中にある仙骨の位置・あり方が安定しているということです。
仙骨は背骨の一番下に位置していて、背骨の始まる場所。
だから、
仙骨の位置関係、そしてあり方が安定する=その上に乗る背骨が安定する
ということになります。
骨盤は、この”仙骨”を左右両側から”腸骨”が挟んで安定する構造になっています。
この”仙骨”と”腸骨”のつくる関節が有名な「仙腸関節」です。
骨盤のゆがみとは多くの場合、「仙腸関節」の位置関係が悪くなり”仙骨”の安定性が失われた状態です。
骨盤矯正によって身体が良くなるのは”仙骨”の位置関係が改善され、
背骨の土台がしっかりと安定するということが大きな要因なのです。
② 腰は身体の前側に反っている(腰椎の前弯)
背骨が前後にS字状にカーブを持っていることはあまりにも有名ですよね。
特に”腰”のパーツは5つある腰椎の真ん中にある[腰椎3番]を頂点にして
「前に反っている」状態が正常です。
この[腰の前弯]を作る最重要ポイントが
一番上の[腰椎1番]と一番下の[腰椎5番]がしっかり反りの土台を作ることです。
一番下の[腰椎5番]→
骨盤をつくる”仙骨”の真上にあって腰の反りを作る土台となります。
呼吸機能や性ホルモンなどの重要な調整場所にあたります。
一番上の[腰椎1番]→
肋骨や胸を乗せる土台になるためにもしっかりとした腰の反りをつくる場所。
腎臓機能や副腎ホルモンなどの重要な調整場所にあたります。
腰にしっかりと反りがあることが、ホルモン機能や内臓機能にまで繋がっていることを観れば、
”構造的”な腰の問題が単純にゆがみだけの問題ではなく、
全身に大影響を及ぼすかがよくわかりますね。
②腰から全身へ波及する連動性を観る
腰痛をお持ちの方のなかには、脚やお尻の部分の筋肉を弛めただけで、
かなり腰が楽になる!と実感のある方も多いと思います。
それは本来は、腰と足が連動して働いているためです。
”腰”は全身の動きの要になっていて、背骨はもちろん手や足とも連動して動きます。
腰は”腰”だけを観るのではなく、その連動性まで観ることで安定性は飛躍的に高まります。
-1 腰椎5番と足首は深い連動性がある
腰椎5番は上でも観たように[身体の反りを作る場所]であり、
身体の”前後運動”の中心になります。
前後運動というのは、
前→身体を反る動きで必要になる腰椎の反り・前弯の動き
後→お辞儀などの腰椎の前へ曲がる動き・かがむ動き
足首というのは、基本的には前後に曲げ伸ばしして
踵(足の後ろ)⇄つま先(足の前)の前後のバランスを扱う場所です。
歩くときは踵(足の後ろ)で接地して、つま先(足の前)で蹴り出すことでも分かる通り”前後運動”の要所なのです。
腰椎5番は足首と強力(連動)して「前⇄後」の動きを扱う場所といえます。
具体的には
踵⇄腰椎5番の反り(後)
つま先⇄腰椎5番の屈み(前)
という動きが必ず連動して行なわれています。
[腰椎5番]の調整に足首の調整が不可欠になるのは、こんな連動性が身体には存在するからです。
-2 腰椎3番(L3)と膝は深い連動性がある
歩く時に右手が前に出る時に左足が前に出て、左手が前に出る時には右足が前に出ますよね。
これは身体が[捻れ]を利用して身体を有効に動かしているからです。
この「捻じる」動きの中心にあるのが[腰椎3番]です。
この「捻じる」動きに連動するのが膝になります。
膝が歳と共に痛みやすかったり、変形しやすいのは身体が[捻れてくる]からです。
[腰椎3番]のゆがみの調整には膝の使い方やゆがみを観る必要があります。
膝は構造としても、平らな関節面で可動性が高く、
- →膝の上にある「股関節」の性格にも引っ張られる…内臓や体幹の状態が影響する
- →膝の下にある「足首」の性格にも引っ張られる…地面との関係が影響する
こんな様々な場所から影響を受けるからこそ[腰椎3番]を巻き込む
ぎっくり腰は激烈で激しい痛みを引き起こすほどのゆがみを起こしやすいのです。
③内臓の状態が腰にダイレクトに反映する
ごく簡単に表現すれば、
[内臓は横隔膜や腹膜を介して腰椎に”ぶら下がる”]状態にあります。
筋肉や骨のようにその位置が決まっているわけではなく、
内臓は腰(椎)の前にぶら下がっているのです。
本当は、内蔵はとても柔らかいながら、特定の形状を持っていて、あるべき場所があります。
内臓が活発に動いていると、
柔軟な伸縮を繰り返しながら、あるべき位置にあるので、腰への負担はありません。
ところが、
緊張したり、過剰労働(食べ過ぎ)で内臓が疲れたり働けなくなったりすると、
活動がストップして重力に引かれて腰椎を当てにして完全にぶら下がってきます。
このぶらさがった状態が簡単に言えば、内臓下垂の状態です。
内臓が下垂すると膜を介して腰椎も前(下)に引っ張られます。
実は、この内臓が前(下)に引っ張る力が
腰椎の構造をアンバランスにし、腰痛を引き起こしている最大の要因となります。
現在の日本は食べたいものを食べたいだけ食べれる飽食の時代であり、
頭脳労働が極端に増えて、お腹よりも頭ばっかりが働いてしまうために、腰痛が起こります。
皆さんが思っている以上に、内臓由来の腰痛や姿勢の悪さというのが引き起こされています。
当院では、腰痛を起こす局所的な”腰”の問題はもちろん、
その奥にある身体の”構造的””内臓的””連動性”などの広い視点から矛盾に踏み込みます。
腰痛は「治す」のではなく、内臓や全身の連動性の端的な状態と捉え、
痛みの改善に留まらない全身のバランスの向上及び代謝力のアップにまで高めるための
身体のサインと受け止めることが重要です。