四十肩・五十肩
四十肩・五十肩の大切なポイント
- 肩の構造的な特徴と連動性を回復する
- 脇の下・鎖骨を調整して上半身の血液循環を改善する
- 消化器・呼吸器などの内蔵からの影響を取り除く
四十肩、 五十肩は肩関節の周りに起こる激痛や可動制限を伴う症状としてとても有名なもの。
腕を上げる、後ろに回すなどの動作がしにくくなって、鈍い痛みが続いたり、激しい痛みが起こります。
洗髪、髪をとかす、歯磨き、炊事、洗濯物を干す、寝返りを打つなどの日常生活が困難になるのでとても厄介なものです。
自然に改善を待っていても通常は半年から1年で痛みが収まることが多いと言われています。
でも、可動制限が残ったり、逆の肩に同じような状態が”移動”することもよく見られます。
これは治ったのではなく、負担を覆い隠した結果です。
肩という場所が身体のバランスの崩れや、内蔵の問題から引っ張られたり、バランスを補正するのに使われる場所です。
肩が挙がりずらくなることの裏には実は、全身的な身体の内側の問題が投影されます。
いろいろ言いましたが、いずれにしても、
『痛みや可動制限が起こる=肩周辺で強い炎症が起こっている』状態です。
どうして肩関節周辺に炎症が起こるのでしょうか?
これには、まず肩関節の構造的特徴知ることが大事です。
肩の構造的な特徴とは?
肩関節の特徴をズバリ!!
ポジティブな面としては「可動域が広い」。
そして
ネガティブな面としては「不安定な関節」。
ということになります。
この表裏一体の特徴のために、肩の関節は”使いやすく負担がかかりやすい”構造になっています。
①関節窩が浅い
肩甲骨と上腕骨の繫ぎ目にあたる肩の関節はほとんどはまっていません。
股関節のように深く関節がはまり込んでいるのではなくて、肩関節の関節面はかなり浅くなっています。
イメージ的には、けん玉の持ち手の方の乗せ場所のようなものでしょうか。。。
はまってないからこそ可動域が広くとれますが、そのままでは簡単に脱臼してしまいます。
事実、スポーツ選手などでは肩の関節の脱臼が頻繁に見られます。
②筋肉が関節を安定させる仕事をしている
肩の特徴の大きなものとして”筋肉が関節の安定に働いている”ことが挙げられます。
普通の関節は「靭帯」が繋いでいる骨と骨が動きすぎたり、離れすぎて”脱臼しないように”一定の張力で関節の動ける範囲を限定してコントロールしてくれています。
靭帯は自分の意志で伸⇄縮したりしないで一定の張力で関節を安定してくているんですね。
一方、
筋肉は意思や必要によって伸⇄縮できて、その際にはエネルギーが使われるので疲労もたまります。
肩の関節は「ロテーターカフ」という筋肉がこの「靭帯」の役割を担っています。
筋肉は”靭帯”よりも柔軟に可動域のコントロールができて、肩のより動きやすいというメリットを活かしてくれます。
その反面、
肩が構造的に不安定になるほど、筋肉に負担が掛かる、つまり「疲れる=こる」ことになります。
肩が構造的に不安定になるってどういうこと?
肩の構造的な不安定な状態。。。
これこそ「肩が前に入っている」とか「肩が上に上がっている」という状態です。
これが「猫背」というカタチを固定していくのは、実感のある方も多いのではないでしょうか?
安定している肩の状態は”ローテータカフ”という比較的小さい靭帯のような筋肉だけで十分安定します。
こんな安定した状態では、肩甲骨は背骨の近くにあって下に下がっています。
構造的に方が不安定になるのは、”なんらかの問題”があって表面にある骨を大きく動かす筋肉が働いている状態です。
表面の大きな筋肉は、力も強く、複数の関節をまたぐようについています。
→表面の大きな筋肉が働かざるを得ない状況に追い込まれる
→肩の関節が不必要な力で不都合に引っ張られる
→もともと不安定な肩関節が”脱臼した”状態になってしまう
四十肩・五十肩の裏には
”ローテータカフ”以外の筋肉が働くなくていけない全身の問題が隠れています。
「肩が前に入っている」「肩が上に上がっている」「猫背」を引き起こす大きな筋肉は、肩の関節に強い「捻れ」を生むことで肩の関節を不安定にします。
この問題がどこにあるのかを観ていくことこそ重要なポイントです。
肩は心臓や頭の血液循環の状況をよく現す
心筋梗塞などの心臓の血管異常の際には左肩に異常感が出ることが知られています。
これは心臓が少し身体の左にあって、心臓の反応が左肩に反映されやすいからです。
”四十肩・五十肩”に関しては、
頭に向かう血液循環がうまくいっていないというサインとして観察する必要があることは昔から言われています。
頭に向かう唯一の道になる”首”周辺のバランスや構造の異常が肩には出てきます。
だから、肩の異常は痛みや可動制限を超えて、身体の内側の問題に目を向ける必要があります。
そもそも「腕」はえら呼吸の時代から呼吸活動を助ける補助器官だったと言われています。
つまり腕がしっかり使えることが呼吸や血液循環を安定化させていると考えられます。
腕をしっかり使うとはどういうことでしょうか?
腕は基本的には体幹(背骨)と連動して働ようになっています。
腕ー肩甲骨ー鎖骨ー肋骨とつながって、最終的には背骨を”主”として体幹と連動します。
この連動性がしっかり生きていると、肩甲骨は背骨に近く、下がった位置で働きます。
「肩が前に入っている」「肩が上に上がっている」「猫背」とは真逆です。
つまり、
肩のあり方が猫背などのカタチの問題を超えて大きな血液循環や全身のバランスの大きなサインになるのです。
心臓や頭の血液循環を如実に現しているのは間違いありません。
身体の可動性をしっかり捉える
当院では、肩のあり方を通して痛みなどの症状も踏まえ、全身の血液循環の状態などを把握します。
特に四十肩や五十肩に留まらず肩こりや頭痛を引き起こす慢性的な要因に挙がる要因を裏返すと…
「肩が前に入っている」→肩はもっと後ろに、背骨に近い位置にあるのが普通
「肩が上に上がっている」→肩はもっと下にあって腕や肩の自然な動きを邪魔しないのが普通
「猫背」→背骨は身体の軸として肩甲骨や腕の動きの主導権を握るのが普通
ということがわかります。
姿勢というのは全身の状況を本当によく現しています。
背骨の可動性としては、
屈曲(身体を前に曲げる)⇆ 伸展(後ろに反る)という幅があります。
同じように血管にも収縮⇆拡張する幅があります。
この屈曲(収縮)⇄進展(拡張)がポンプ作用となり血液循環を活性化します。
そして同じように自律神経にも交感神経(興奮)⇆副交感神経(リラックス)の幅があります。
人間は直立したことで、重力に逆らって頭に血液を汲み上げなくてはいけなくなりました。
四十肩・五十肩は血液循環やそれを邪魔する全身の問題を表してくれています。
手や目などの使い方が四十肩や五十肩を支える要因になる
肩こりの大きな要因になっているパソコンやゲーム。
- 手先の細かい作業→腕を小手先の動きにする
- 画面をずっと凝視する→視覚を身体の”前”に縛り付け、意識ごと”前”に固定される
こんなふうに身体を前に向かせ小手先の行動に引っ張っていきます。
手先の作業も、目を使うことも身体が前に意識を取られる行為であり、猫背を誘導します。
私たちの日常生活ではほとんどの人が当てはまるのではないでしょうか。
意識が前にとられてしまうと、後ろは「お留守」になります。
一番意識がおろそかになる場所が肩甲骨周りです。
これが「肩が前に入っている」「肩が上に上がっている」「猫背」を簡単に起こします。
さらに、頭をつかうことで頭に向かう血液量が飛躍的に増えます。
内臓からの影響も大きく影響する
簡単にイメージしてみたください。
お腹が痛くなるとうずくまります。
内臓の調子が悪いと「猫背」が簡単に誘発されます。
内臓は血液をきれいにして、新しい血液をつくるところです。
内臓に不調があると、血液が汚くなって、血液循環が悪くなって代謝が下がります。
内臓は副交感神経(リラックス)が支配し、頭は交感神経(緊張)が支配します。
四十肩、五十肩はその名前の通り、40代から発症のリスクが高くなります。
これはずっと黙って無理を引き受けてきた内臓に無理が利かなくなって悲鳴をあげる時期と重なります。
生活習慣病や更年期のリスクもこの時期と重なってきますよね
[内臓=生きるための機能]を中心に身体を見直すことで、症状も早く経過することができます。
四十肩・五十肩は肩の構造的な特徴を踏まえた上で、血液循環や内臓の全身的な不調と捉えます。
症状の辛さも強いのですが、それだけ全身的な矛盾が起きているサイン腰を据えて全身的な改善を図ることが近道です。