膝の痛み
膝の痛みの大切なポイント
- 足首と股関節の構造をしっかり調整する
- 膝を動きの中心からバランサーへ変える
- 身体全体としての[捻れ]を改善する
スポーツ選手のケガもとても多くよく靭帯を断裂した、損傷したというニュースも流れます。
また加齢と共に膝が変形してしまい痛みや不安を抱えていらっしゃる方もいます。
どうしてこれほど膝の痛みは出てくるのでしょうか?
まず膝の最大の特徴を知る必要があります。
膝関節の構造的な最大の特徴は
膝を作る脛骨(下の骨)と大腿骨(上の骨)の関節面が平ら。
- →動く範囲と柔軟性は高いが、安定性に欠け壊れやすい
- →その分しっかりとした靭帯がついて安定させている
この靭帯が、前十字靭帯・後十字靭帯・そして内側と外側の側副靭帯です。
この構造的な特徴から、
膝は、靭帯に負担がかかりすぎる動きや身体の使い方にとても弱いといえます。
どうして膝に負担がかかるのか?
では、膝の靭帯に負担がかかる動きとはどんな動きなのか??
それは一言で言えば[膝が動きの主役になる動き]です。
膝が動きの主役になったら、膝は壊れます。膝は主役ではいけないのです。
少し詳しく説明します。
膝は「足首」と「股関節」の間に位置しています。
[下肢の役割分担]
- 足首→下肢の中でも地面に近く、地面との関係を最優先させる前線基地。
- 股関節→下肢の中で胴体に近く、内臓や骨盤、体幹との関係を最優先。
- 膝→足首と股関節の間にあって、両者の連携をとるバランサー。
もし、足首と地面との関係が悪くて、足首がうまく動かなくなったり、
逆に、股関節が内臓の不調や背骨の歪みなどで影響を受けて、うまく動かなくなったとします。
すると
- →膝がその動きの負担を受けて、足の動きの中心地となる。
- →下(足首)から、上(股関節)からの矛盾を全て調整しなくては立てなくなってしまう。
本来はバランサー役の「膝」。
足首や股関節の分まで働かなくてはいけなくなると、膝は壊れてしまうというわけです。
事実、
膝の痛みを抱えている方、お医者さんから「変形」していると言われた方でも、
足首と股関節の調整を行なうことで、快方に向かう方が多くいらっしゃいます。
膝に負担がかかりやすい動きとは?
膝が動きの主役になったら、膝は壊れる理由が少しわかったところで、
実際の動きの中で、負担の掛かりやすいシーンをピックアップします。
①つま先優位
足の裏の中でも、つま先で立った場合、つま先の真上に位置できる関節は「膝」だけです。
つま先優位になると、地面に立つバランスをとるのに膝が主役になって使われます。
本来はもっと踵に近い場所で身体を支えるのが普通です。
踵でしっかり立てると、踵の真上に位置できる関節は「股関節」になり膝がバランサーになります。
女性のハイヒールはつま先を優位にする最も代表的なものです。
これらの動きは下肢全体の血液循環をとても悪くします。
②腰を落とさず、膝を折る
「床に落ちたものを拾う」とか「重いものを床から持ち上げる」というとき、膝を曲げます。
「膝を折って」という使い方は、そのまま膝が主役になってしまいます。
同じ膝が曲がる動作でも
→「股関節で上体を落とす」「足首をしっかり折りたたむ」という感覚、使い方が重要です。
③捻る動作
膝は身体の捻れ(回旋)の動きに働きやすい関節です。
これはあくまで腰と連携して行なわれるべき動きなのですが、
腰が硬直して動きづらくなると、膝だけが捻れて飛躍的に壊れやすくなります。
これだけは知っておきたい!!膝を壊さない簡単な動きのきまり
膝を壊さないための[きまり]を2つ紹介します。
簡単なので、今日からでも意識してみてください。
①膝をつま先より前に出さない
歩いている時も、座る時も、階段を上り下りする時も、膝をつま先より前に出さないようにします。
こうすることでつま先優位をコントロールしやすくなります。
②身体を捻る時は、捻った方の足裏に身体が乗る
例えば、身体を右に捻る時は、
右の足裏全体に身体が乗り込んで、左足が浮いてくるのが正しい連動性。
特に、右に捻っても、左足に身体が残っていたり、
右足がつま先立ちになってしまうような動きは膝の負担になります。
変形性膝関節症
変形性膝関節症は膝の関節を作る脛骨と大腿骨に異常な負荷がかかり骨の変形や骨棘ができる状態です。
一番問題なのは、「加齢と共に膝の変形は起こるもの」という考え方です。
歳を取れば、痛みが出てくるのも、変形も当たり前
なんて悲しい考え方はないと当院では考えています。
関節というのは関節面に適正な圧力が係ると、
滑液という”油”が出て関節運動がしっかりできるようになっています。
- 足首や股関節の負担を受けて動きの主役になってしまう。
- つま先優位によって「膝」が動きの主役になってしまう。
- 捻れ運動の連動性が崩れやすい
適正に圧力が掛からない理由を踏まえて、
膝の関節にしっかり圧力がかかれば適正な膝の形に変形も起こりうるとも考えられます。
ケガなどで膝を痛めた経緯のある方でも、膝に負担をかけないように
身体を見直していくことで現状よりも膝を上手にそして痛みなく使っていくことができる可能性もあります。
膝の特徴を知って、しっかりと体全体として膝と向き合うことが大切です。