不眠症
不眠症の大切なポイント
- 自律神経のバランスを整える
- 呼吸を高めて気体の取り込みと排出を活性化する
- 頭蓋骨を弛め、呼吸と連動して動くように整える
最近は眠れなくて悩まれてる方が大変多くなっているように感じます。
どうして『眠る』ことができなくなってしまうのでしょうか?
そもそも『眠る』ということは、副交感神経が優位になって身体がリラックスして休息をとる行為です。
眠れないのには、副交感神経が優位に立てない要素があります。
自律神経の2つの基本的なバランスを整理しておきましょう。
①副交感神経(リラックス)と交感神経(緊張)のバランス
副交感神経と交感神経はシーソーのように、交互に優位が入れ替わるようにバランスを繰り返す。
→副交感神経を優位にするためには、交感神経をしっかり使うことが必要。
→交感神経をしっかり使うことで、反転して副交感神経が働くようになる。
②副交感神経(内臓)と交感神経(頭)のバランス
副交感神経は内臓を中心とした栄養吸収・造血・血液浄化の指令系統、交感神経は頭(意識)を中心とした血液の消費地。
→特に人の頭はいろいろな思いや要求でグルグル回り続けるために交感神経が弛みづらい。
→副交感神経が働くためには頭をいかに休養させるかがポイント。
自律神経のバランスが整うと、自然と呼吸が深まって、『眠り』やすくなります。
不眠症の3パターン
不眠症は睡眠に関する障害の総称ですが、出方によって3パターンに分類されています。
- 入眠困難タイプ…眠りに入りづらい
- 途中覚醒タイプ…夜目が醒めてしまうと、再び眠りに入れない
- 早朝覚醒タイプ…朝早く目が醒めてしまう
これらは副交感神経が優位になりづらい・優位になりきらない・優位な時間が短いと捉えられます。
いずれも副交感神経の質の問題です。
お年を召した方が早く目が覚めてしまうというのは、①のバランスによって解説できます。
夜のリラックスレベルを上げるには、昼間の活動レベルを上げればいいのです。
また引き金になりうる病的な要因としては
- 自律神経失調症→交感神経と副交感神経のバランスが失われている
- 対人恐怖症、パニック障害→頭優位の特徴でもある内への意識が強く、外の”人”や”環境”に排他的になっている
- うつ病(症)→交感神経や副交感神経のどちらかに偏ったままバランスを失っている
などが挙げられています。
なるほどこれらも交感神経と副交感神経のバランスが大きく関与していることが推察されます。
そして、
何度か睡眠障害に悩まされると「また眠れなかったらどうしよう」という不安やストレスで慢性化しやすくなります。
①呼吸の『膨ー縮』の幅は自律神経の『緊張ーリラックス』そのもの
呼吸は全身でするもの。
呼吸は肺の伸縮がメインと思われていますが、実は、全身が連動して伸縮しています。
呼吸による伸縮リズムが身体にものすごい力をもたらしてくれます。
→自律神経の交感神経(緊張)と副交感神経(リラックス)の幅をつくる
→全身に血液を巡らす最大のポンプ力
整体でも呼吸器の急所は全身に存在します。
足首・腰椎5番(L5)・胸椎2,3番(T2,3)・後頭部そして肺が入る胸郭などは特に重要ポイントです。
呼吸が浅いと酸素不足・血液循環の停滞など物質循環が滞ります。
その結果として身体は緊張に傾きます。
口を塞がれたら苦しくなりますよね?
全身の細胞も同じです。
呼吸による伸縮がなくなると苦しくなります。
逆に呼吸を見直すことで身体は自然とリラックスに向かいます。
②頭蓋骨と呼吸の連動性を取り戻す
後頭骨や頭頂骨などの多くの骨が歯車のように噛み合っている頭蓋骨。
頭の骨も呼吸と連動して『膨⇆縮』しています。
頭の過剰な活動が続くと連動性がストップしてロックしてしまいます。
頭蓋骨の調整は、ロックしてしまった頭骸骨の数mmの可動性に働きかけます。
頭のロックが弛むと呼吸が深くなって連動してきます。
すると、
自然と『頭』に上った血液が下がって、副交感神経が優位になります。
現代の生活は、身体を動かす機会も減って、活動の中心が『脳』になってきています。
脳が食べたいものを満足するまで食べると【食べ過ぎ】と【糖質過多】になります。
ゲームやパソコンは頭(脳)の遊びであり仕事です。
『脳』を内臓する頭蓋骨の調整は、自律神経の重要な調整場所です。
③自分の感受性や考え方を客観的に捉える
「頭」=【意識】=緊張(交感神経)。
「こうあるべきだ」とか「こういうものだ」という固定した価値観。
これが強すぎるとイレギュラーが起こった時に、人は”パニック”や”拒絶”を起こします。
これが、怒りで発動されれば「ヒステリー」、悲観であれば「引きこもり」や「うつ傾向」となります。
身体の交感神経優位、つまり緊張は自分の価値観や世間の常識が作り出します。
『眠る』ことは副交感神経優位、つまりリラックスの象徴的な行為です。
「こうあるべきだ」とか「こういうものだ」という自分の中にある『べき思考』と向き合うこと。
自律神経のバランスを変えるための大切なポイントになります。