安定した血液循環をつくる力とは?
心臓だけでは全身の血液を回す力がたりない…
血液の循環には【心臓】という親玉がいます。
でも、心臓には全身の血液を回してくれるだけの力はありません。
心臓というのは、私たちが海の中にいた頃。。。
つまり“浮力”を受ける前提で作られているからだと思います。
生命が海から陸に上がってきたときに、血液が重力で下に下に落ちてきてしまうというときに、
身体をバタバタ激しく動かしながらその筋ポンプを使って血液を循環させたのではないか。
そんな話もあります。
だから、血液を全身に循環させるには心臓の他にポンプが必要になります。
そのひとつが有名な「ふくらはぎ」です。
ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれている。
ふくらはぎは歩いたり走ったりするときに筋肉の伸縮が起こります。
その筋肉の動きが筋ポンプになって重力に逆らって足から血液を心臓に送り返す強力なポンプとして機能します。
この働きは、牛の乳搾りのように血液を送り出すということから「ミルキングアクション」などと呼ばれてふくらはぎは第二の心臓とも言われています。
「ふくらはぎ揉み」や「ウォーキング」などが健康に良いと言われるのはこのためです。
でも、ふくらはぎの血液循環ポンプには2つの弱点があります。
ひとつは、「足首の捻れ」や「つま先優位」になっているとその効力が半減してしまうこと。
足首の動きが捻れていたり、つま先優位になっていると足首の可動範囲が限定されます。
するとアキレス腱からつながるふくらはぎの筋肉の動きが少なくなったり、緊張が続いてポンプ作用が発揮できません。
もうひとつは、寝ている間は血液循環ポンプとして使えないということ。
ふくらはぎの筋肉は寝ているときには働きません。
ポンプが止まったら循環も止まってしまうことを考えたらポンプ機能としては決定的な弱点です。
心臓と同じように常に血液循環のポンプになるには寝ていても働いてくれる必要があります。
では、寝ている間も血液循環のポンプになるのはなんでしょうか?
それが【内臓】です。
呼吸で伸縮し続けている「肺」と消化吸収などで蠕動運動している「腸」の働きが安定したポンプ機能としてとても重要です。
「腸管」の働きが安定した血液循環を作る
内臓の働きも筋肉が行っていますが、いわゆる筋肉のイメージの身体を動かすものとは少し違う特徴を持っています。
その特徴は「疲れにくく、ゆったり安定して継続して動ける」ということ。
実は、呼吸で働く「肺」も、消化吸収で働く「腸」もそのルーツは大枠では一緒です。
それは【身体に必要なものを取り入れて、いらなくなったものを返す・捨てる】ひと続きの「腸管」です。
だから肺も腸も生きるためにずーっと働き続けてくれています。
そして、そもそも心臓は鰓(えら)呼吸のリズム作っていた器官と言われているように「腸管」と一連の働きをしていました。
つまり
血液循環を安定的に作り出すのは、身体に必要なものを取り入れて、いらなくなったものを返して血液を作る過程で「腸管」自体が一元化して行っている
そういうシンプルな構造が見えてきます。
内臓と自律神経を改善すると血液循環が改善していく
主に内臓の筋肉の伸⇄縮をコントロールしているのが自律神経の中のリラックスで働く副交感神経です。
だから、血液循環をしっかり安定させるには、自律神経の働きと内臓自体の働きの両面から改善することが重要になります。
- デスクワークやパソコン作業が肩こりがつらい・むくみやすい
- 運動しているんだけど手足の冷えが良くならない
- 自律神経の不調や精神的な不調、慢性的な不定愁訴が続いてしまう
こんな身体の不調は表面的な”症状”だけを気にしたり、単純な運動不足と考えてもなかなか良くなりません。
それは内臓の運動不足でそもそもの血液循環が低下していることが多いからです。
自律神経のバランスも乱れて、基礎代謝自体が低下しているのです。
もちろん運動すればそのときは少なからず血液循環の助けになりますが、運動には必ず疲労も溜まります。
内臓のポンプは血液循環を作り出すために働きながら、血液を造り・綺麗にしてくれる働きです。
血液の循環をしっかり安定させて、血液綺麗に変えて、自律神経まで整うすごいポンプです。
*この文章は当院のコラム【身体が変わる視点】の中から、特に体質の問題にフォーカスしているものに加筆、改定して掲載しています。