今回のテーマは『”体幹”を作るために”体幹”を知る』です。
最近では、様々な「体幹」トレーニングあって、
それぞれの方法論にはそれぞれとても良いことが示されています。
でもその情報を受け取って実践に移す場合に、
単純な「筋トレ」のように受け止めている方が多く見られます。
体幹トレーニングを単純に「筋トレ」て取り組んでしまうと
思わぬ不調やパフォーマンスの低下に悩んでしまうかもしれません。
今回は「体幹」の本質的な役割について考えていきたいと思います。
体幹とは、簡単に言えば「背骨を中心とした身体の軸のこと」です。
四つ足動物から2足歩行に進化した私たちは、
重力のエネルギーを背骨で上下に受けることになります。
4本の足で動いていた時と比べると重力の受け方が90°変わっています。
もともと背骨は4本の足の時から、
- 血液を作る・血液の原料を蓄える
- 内臓をぶら下げるようにして支える
- 神経を通しながら栄養し、保護する
というような大事な働きをしていますが、
2本の足になったこととで、
- 重力をまっすぐ受けて身体の軸となる
という大きな仕事がもう一つプラスされました。
だから、
私たちは重力を背骨でしっかり上下に受け止めないと
→血液を作る・内臓が働く・神経を通し護る・安定して身体を使う
といった生きるための本質的な活動が低下してしまいます。
つまり体幹が生命活動の質の良し悪しの鍵になっているとも言えます。
「体幹」という言葉はスポーツシーンで
パフォーマンスを向上していくために提案されているイメージが強いのですが、
「体幹をしっかり鍛える」ということは、
そのまま生活の質・生きる力を引き出すことに直結していることが分かりますね!
身体の動きは背骨が「主」、手足が「従」。
では、体幹を使えるようになるとどんな変化が起こるのでしょうか?
歩いたり、走ったり、もっと複雑な動きをした場合でも、
体幹にある内臓の働きや血液を作る力、神経の通りなどを
しっかり保ったまま行うことができるようになります。
内臓や神経・血液の循環といえば、
スポーツも含めて生活全てに決定的に重要な身体の本質的な働きです。
具体的に体幹主導の動きをイメージしてみた場合、
背骨がまず動き出して、その動きに手も足も連動して
動きを拡大していくような連動性が生まれます。
つまり、背骨=「主」、手足=「従」という連動性が基本になります。
現在のほとんどの方はこの連動性が崩れて小手先の動きになっています。
小手先の動きというのは、手足=「主」、背骨=「従」です。
小手先の動きでは、背骨の仕事は後回しになります。
だから、パフォーマンスが落ちて、身体が不調に陥っていきやすいのです。
《パソコン作業》では手先が「主」となって、
背骨から意識も主導権も失われて、猫背になってしまいます。
《ヒール》を履いてつま先で立っていると、
「主」となったつま先が使いやすいように骨盤や背骨が歪んでいきます。
スポーツのパフォーマンスに限らず、
今の日本ではこんな日常生活がことごとく小手先の動きになっている現実があります。
もともと日本人というのは「臍下丹田」という
身体のコア感覚に優れ、体幹を上手に使いこなしてきた民族です。
だから、
日本には足をあんなにも窮屈に折りたたむ「正座」という座り方があります。
結構苦手だったり、膝が痛くてできないという方が多いとおもいます。
でも、私もそうでしたが「体幹」が出来てくると
「正座」していても足もしびれずらくなって、苦痛でもなくなってきます。
こうして考えてみると病気や不調から抜け出すためにも、
「体幹」をしっかり作るという意義が高いのがなんとなくわかりますよね。
少し長くなってしまいましたので、次回続きを考えていきたいと思います。