春になってだいぶ温かくというよりも暑くなってきました。
寒暖の差が大きくなっていますので、身体の対応力が弱いと体調を崩しやすくなっていますね。
暖かくなってくるとジュースやアイスなどの冷たいものが欲しくなります。でも少し注意が必要です。
冷たいものについて身体の基本的な性能から考えてみましょう。
冷たいものを取ると一番影響を受けるのはお腹です。
食べ物、飲み物として消化管が最初に接する場所だからです。
私たちは平熱と呼ぶ生きるために必要な一定の熱量に相当する代謝が行われています。
ヒトであれば36.5~37.0℃前後の熱エネルギーが発生するような回転代謝が行われて正常な身体の働きを維持しています。
1℃体温が下がるだけで細胞のエネルギー代謝は著しく低下します。
細胞はそれぞれ特徴的な役割を持って分化していますので、例えばホルモン分泌細胞であれば、ホルモン異常が起きますし、免疫細胞であれば、免疫機能が低下します。
機能が低下した細胞は当然のことながら、糖質や脂質も燃えにくくなります。
お腹が冷えてしまうとどんなことがおきるでしょうか?
それを理解するのに腸管周辺の機能として重要なのは3つ。
① 消化機能→取り入れた栄養(エネルギー)を取り込める形に小さく分解
消化機能は腸管全体を通して行われています。腸管の蠕動運動や、口(唾液腺)、胃(胃液)、十二指腸・小腸(膵液)などの消化液で物質を細かく分解していきます。
蠕動運動を起こす内臓筋は呼吸中枢や睡眠中枢などの生きる自律的機能の統御系が詰まっている大脳辺縁系という内側の脳で統合されています。
内臓と脳はこのように自立神経系によって常に連絡しているので、腸管の不調が原因でうつや精神病になるケースが多いのもうなずけます。
② 生体膜フィルター機能→フィルター対象としては腸内細菌と未消化の栄養(エネルギー)
消化された栄養(エネルギー)は腸管膜から吸収されていきます。
生体膜は内側と外側で安定的に物質やイオン濃度が保つためにエネルギー代謝が行われて、クラッシュ&ビルドが行われています。
これによって必要なものは取り入れ、いらないものは入れないというフィルター機能が発揮されます。
フィルターされる対象は未消化の栄養(エネルギー)と腸内細菌などの細菌類です。
吸収しても細胞(ミトコンドリア)が使えない未消化の分子量の大きな栄養物は取り込まないようになっています。
また腸管に点在している扁桃組織(白血球造血組織)のパイエル板のM細胞が機能して腸内細菌などは体内に入ってくることなく体外で共生し、有害細菌なども侵入できなくなっています。
③ 造血機能→吸収した栄養(エネルギー)を体内へ運ぶために突然発生的に分化(腸管造血)
栄養吸収の場である腸管はそもそも造血の場と言われています。
栄養というエネルギー物質に対応し、その物質を体内に運ぶために血液が作られ、細菌やウィルスが侵入しないようにリンパ組織が作られます。
皮膚、腸管という一番外側の環境と境する組織から吸収するエネルギーに対応して自然発生的に分化してきます。
単細胞の時は直接膜を介して吸収・排出が行われていましたが、多細胞になり全ての細胞に栄養を供給するのに吸収口となる腸管(肺・消化器系)には血液造血機能の大本があると言われています。
基礎代謝という概念があります。
これが低いことが肥満の原因とか老化だと言われますが、基礎代謝とは寝ている時の(肉体活動を除いた)膜組織の機能維持とリモデリングに使われる最低限のエネルギー代謝(回転)を意味します。
基礎代謝が落ちてしまうと肥満になるだけでなく、組織のクラッシュ&ビルド(作り替え)が滞るので組織が老化してしまうのは当たり前です。
特に腸管休むことなく常に活動してくれている”生きる”ための組織なので、しっかりとした代謝力が必要とされます。
冷たいものは一瞬でお腹を冷やします。
温度に依存する恒温動物は1℃体温が下がるだけで細胞のエネルギー代謝は著しく低下して、①消化機能②生体膜フィルター機能③造血機能全てが瞬時に低下して、細菌やウィルスの侵入も許してしまいます。
代謝が大きく低下していなければ、間もなくお腹の温度も元に戻って正常化しますが、冷たいものの取り過ぎで、完全にお腹が冷えてしまうといわゆる『バテ』た状態で、体調不良となります。
夏に向けてどんどん暑さが増していくとてもエネルギッシュな季節が始まります。
冷たいものが身体に与える影響を見直してみてもらえたらと思います。
代謝が高くて、しっかり温度調節できる人ほど、暑い季節でも冷たいものへの欲求がなくなります。夏バテしない身体を目指しましょう!!