今回のテーマは『皮膚は身体の状態を語る!』です。
皮膚から何かが分かるの?と首を傾げる方も多いと思いますが
皮膚と内臓と脳、この3つは切っても切れない繋がり深ーい繋がりがあります。
そもそも私達の身体を昔に遡っていくとひとつの細胞だった時代があります。
細胞に必要なものは”細胞膜”から取り入れて、
細胞から出た老廃物は”細胞膜”から捨てられて、
というシンプルなプロセスで物質の入れ替えが”細胞膜”で行なわれていました。
ひとつの細胞にとって”細胞膜”というのは
身体の内側と外側を分ける”物質的な”境界線です。
この境界線が機能を失ったら、生命体としては致命的と言えます。
それから進化の過程で細胞の数が増えて、それそれが分業をするようになって私達の今の身体があります。
多細胞生命体になった私達の”物質的な”境界線はといえば…
”皮膚”と”消化器”の表面を覆う細胞の”膜”になっていますが、
その重要性はひとつの細胞の時と変わらず揺るぎなく大きいものです。
”皮膚”は表に、”消化管”は内側に裏返しになっているだけで、
結局は皮膚と内臓はひと続きの身体の境界線となる”膜”です。
そして、
そんな”膜”=境界線での活動を統合して合理的に行なうために、
そこから神経が集まって司令部として発達してきたのが”脳”です。
つまり、
【皮膚】と【内臓】と【脳】は3者が協力して
身体の外側と内側の環境をコントロールしているのです。
特に皮膚は身体の表側を覆っていて、触れることが出来るので、
皮膚の色や感触、柔軟性、温度などから内臓や脳、
ひいては身体の状態をいろいろ察することができるというわけです。
〈皮膚は緊張すると”縮む”〉
自律神経が緊張すると、ギュッと縮むようにして皮膚は伸びづらくなります。
ストレスやデスクワークなどで緊張(戦闘モード)が続くと、皮膚は動きが悪くなります。
これは、皮膚が外側との境界線で身体を物理的に守るための反応でもあります。
こんな状態では内臓の働きも悪く、脳(自律神経)も緊張していることがすぐにわかります。
そして緊張が長らく続くと、皮膚は縮んだままゴムのような感触に感じられるようになっていきます。
〈内臓の粘膜の状態が皮膚に反映する〉
内臓と皮膚はひと続きの境界線なので、内臓の不調は皮膚にそのまま反映されてきます。
内臓の粘膜系が水分が足りなくなってガサガサだと、皮膚もカサカサになりやすくなります。
そしてそんなときは脳も緊張が強いのです。
また、東洋医学では、
皮膚(特に顔)が青っぽかったら→”肝”系統の不調を疑うとか
黒っぽかったら→”腎”系統の不調を疑う、白っぽかったら→”心”系統の不調を疑う
というような内臓からの反射を見たりします。
赤ちゃんの調子悪い時に、くすぐって皮膚を動かしてあげると意外とすぐに良くなったりします。
これも、皮膚からの刺激が内臓や脳にまで繋がり、全身を正常化するからです。
乾布摩擦などの皮膚刺激が身体を活性化すると言われるのもこれと同じ理由があります。
逆に、
”皮膚”という内側と外側の境界線がリラックスして使えている場合には、
それだけで心も身体も内側に閉じこもらずに、開放的で、外側の世界にとても寛容になります。
つまり、
環境の変化に柔軟に対応できたり、人の言動に対してもより柔軟に対応できる
など外部の環境への対応力は”皮膚”が緩んでいるだけで全然違ってきてしまうのです。
皮膚と内臓と脳は深ーく繋がっています。
皮膚が緩むだけで、身体の緊張が抜けたりお腹の動きが良くなるのには
こんな生命としての密接な繋がりがあるからです。
皮膚を知り、皮膚の表情がわかると身体のいろいろなことが見えてきます。