前回はむくみのポイントを2つに絞りました。
今回はこのポイントを掘り下げて考えてみます。
1.体液は重力を受けて地面に向けて落ちていく
2.栄養や排出の物質が身体の中に多くあると水分が必要になる
重力に対抗して血液を巡らせること。
物質(栄養と老廃物)の循環をしっかり行うこと。
このためにはどちらも重力に逆らって足から血液が戻ってくるための身体の仕組みを考えることが大切です。
重力に対抗して血液を巡らせる原動力となるチカラは何でしょうか?
身体全体の循環を考えた場合にとても大きな力になるのは、
寝ている時でも常に生命活動の中で伸縮を繰り返している呼吸による肺の伸縮と腸管の蠕動運動です。
心臓は血液を巡らす主役であり象徴ですが、肺や腸管も常に動いている生命の根幹です。
肺や腸管の膨らんだり縮んだりという動きが血液循環の大きなポンプの働きを担ってくれます。
内臓というと消化吸収の役割が頭に浮かぶと思いますが、消化吸収と造血・循環は一体のものです。
吸収した栄養は次から次に身体の必要なところへ送り出されます。
肺は気体の栄養、特に酸素を取り込むという点では腸と同じで消化吸収の役割です。
全身のポンプの原動力になるのはよく動く所、つまり内臓ということになります。
基礎代謝のおよそ20%は消化管活動に当てられていると言われているくらいで、
寝ている時でも安定した循環力となります。
足からの血液の返りに目を向けた時の注目ポイントは足首の動きです。
デスクワークでは特に足がむくみやすいですね。
ですからむくみ防止に運動やウォーキング、ランニングが薦められます。
運動によって特に足が使われることで、筋肉の伸縮が行われてこれが足からの血液循環のポンプになります。
筋肉によって体液(血液だけでなくリンパ液も)を押し出すような作用は、
牛の乳絞りににていることから【ミルキングアクション】と呼ばれています。
下肢の静脈には逆流を防ぐ【弁】が付いていて、押し出された血液が逆流しないようになっています。
灯油を補給するのに使うポンプがありますよね。
血液を循環させる仕組みの大枠は灯油ポンプで説明できます。
シュポシュポ押すところは身体全体で言えば【肺・腸管】、下肢ではふくらはぎの【筋肉】などです。
これがしぼんだり、膨らんだりを繰り返すことで液体を引き上げるポンプの原動力になります。
そして間に2枚、【弁】が付いていて逆流を防止してポンプの作用を一方向に限定してくれています。
下肢にある静脈の【弁】はこれにあたります。
トリチェリの原理を利用して、上のポンプで真空を作ることで液体を【上に引き上げる】
↓
上に引き上げた液体を押し出すことで、液体を【出口に流しだす】
こうしたポンプのチカラとして内臓の動きや筋肉の収縮が活躍してくれます。
一度流れができると灯油ポンプの中の空気がなくなって、
何もしなくても流れますがこれはサイフォンの原理と呼ばれている自然の働きです。
先に出てくる液体が移動する時に、もとあった液体の場所が真空状態になることで次の液体を同じ場所に引き込んできます。
真空状態というのは安定した状態ではないので、必ず新しいものの流入が起こります。
血液に安定した流れがある場合、真空状態が連鎖的に起こるためにとても安定的に、省エネで血液循環が促されるものと思われます。
身体で例えれば、
内臓が伸縮することで、そこには足から血液が引き上げられます。
内臓が伸縮を繰り返していくと、伸縮のたびに次々と血液が足からあがってくるのです。
足首の動きでふくらはぎなどの筋肉が収縮するたびに足の先の方からふくらはぎの方に血液が引き上げられます。
足首がしっかりと内くるぶし側を中心に動くとそのポンプの力はより効率がよく働くようになります。
注射器やスポイトで真上に水を引き上げたことがありますか?
簡単に水を上に吸い上げることができます。これもトリチェリの原理です。
このように、身体のポンプを使うことで重力に負けない血液を循環させる力を生み出すことができます。
血液を循環させるのに、内臓や足首の動きの質までもが総動員されています。
だから代謝のよい身体ではしっかりとした循環が自然と行われるようになるのですね。
今回は、血液を流すチカラについて考えてみました。
【栄養や排出の物質が身体の中に多くある】ことについてはまた次にしたいと思います。