佐藤 直樹先生の『エントロピーから読み解く生物学』という本を読みました。
サブタイトルは『めぐりめぐむ わきあがる生命』です。
今回は簡単にご紹介したいと思います。
改めて『生きることがそのまま健康に直結する』と感じられたし、身体をこんな視点で観てみたかったのです。
水に墨を一滴たらすと墨は水に均一に拡散していきますよね。
エントロピーというのはこの逆で『不均一性』という意味合いで使う言葉です。
私たちが”生きる”ということは
『環境に拡散しないで一定の情報によってものを集め一つの生命として『不均一性』を保つ』
ということです。
『めぐりめぐむ 湧き上がる』とはどういうことでしょう?
人は違った人生というサイクルをそれぞれの回転とスピードで生きています。
このそれぞれの『サイクル=めぐり』が、お互いに『共役=『めぐみ』あう』ことで全体としての流れが『湧き上がる=加速され、強化される』こと
これは個体レベルで見ても、地球レベルで見ても、細胞レベルで見ても同じ。
『めぐりめぐむ』ことで、膨大なエネルギーが生まれ、そのエネルギーを素に新しい役割や機能が湧き上がり、多様性に富んだ多機能な系を作るのです。
私なりに理解したポイントは
①個々が”自立”して『めぐる=回転』。
②しっかり『めぐる=回転』ことでエントロピー『不均一性』が生まれる。
②個々の回転がかみ合うと、双方に『めぐみ=恵み』が生まれる。
③そんな関係性は新しい『めぐる=回転』を生んで多様性と多機能性が進む。
どうして私たちの知能は他の動物より高いのか?
身体の回転が『めぐりめぐむ』中で生まれたエネルギーが人間は『大脳』の機能性湧き上がったものと思います。
動物がそれぞれに持つ特徴も同じです。
根本的で物質的なシステムの情報は遺伝子が握っていますが、新しく湧き上がるシステムほど、どんなものが湧き上がるのかいろいろな条件に左右されるために機能に多様性が生まれるのだそうです。
どうして生命は単細胞からここまで進化してこれたのか?
それぞれの個別のサイクルが『めぐりめぐみ』あってより大きなサイクルができるとき、
そこには全てのサイクルに利のある目的のようなものが浮かんできます。
生き物の身体の中のサイクルは『自然の中で生きる』という目的が浮かんできます。
もともと単純でまっすぐだった『腸管』。
それが腸管→呼吸器/消化器、
そして消化器→小腸 /大腸/肝臓/十二指腸/膵臓
というようにどんどん新しい役割分担(サイクル)が生まれて高度化しました。
こうして考えてみると、
やっぱり『生き物は”自然の中で生きる”ことが健康に直結しているはず』!!
と思えます。
生き物が育んできた進化の歴史は『自然の中で生きる』というサイクルのなかで豊かな多様性のある自然ができてきました。
一方、東京では自然の『多様性』はほとんど見られません。
脳は『人間が作った社会の中で生きる』サイクルを作り出します。
人間関係は頼ったり、寄りかかる関係性が増えています。
現在増えている病気や人間関係の悪化。
それは『自然の中で生きる』サイクルから逸脱しすぎているサインのような気がします。
まず個々が”自立”して『めぐる=回転』こと。
周りのヒトや自然に目を落してみる…
人に寄りかかりすぎず自分と向き合ってみる…
身体のの病気や不元気も
社会の病気や不元気も
結局は同じサイクルの中にあるように感じます。