前回のコラム『手の使い方が肩甲骨を歪める』では、手の使い方で肩甲骨や全身のエネルギーの方向性が違ってくることを考えました。
今回は肩甲骨とさらに鎖骨に話をフォーカスしていきます。
『腕はどこからついていますか?』
と聞かれたら、皆さんはどこからと答えますか?
多くの人は【肩】から、つまり”肩甲骨と上腕骨の繫ぎ目”からと答えるかもしれません。
上腕骨は肩甲骨と繋がり(肩関節)、肩甲骨は鎖骨と繋がり(肩鎖関節)、鎖骨が胸の骨と繋がります(胸鎖関節)。
つまり腕は”胸の骨”から出ています。
肩甲骨は肋骨の上を滑るように動きますが、
いわゆる関節の構造をなしてはいません。
だから肩甲骨の位置は腕や首、腰などの周りの筋肉の使い方に引っ張られて、簡単に位置の異常を起こしやすくなります。
この特徴があるために肩甲骨に意識を集めたり、
位置を意識的に修正しようとしても、とても難しく成功しづらいのです。
鎖骨は、ほとんどの人にとって、身体の中でも意識が薄くなりやすい場所のひとつです。
鎖骨から腕とイメージできている人はあまりいないのが現実だと思います。
だからこそ、【鎖骨】に意識を吹き込むことで姿勢や肩こりの緩和にはとても変化が見込めるのです。
また鎖骨の下は太い血管や腕に向かう神経が通るために、腕や頭への血液循環や神経の通りにも大きく影響します。
さて、前回お話しした
親指優位⇄腕の内側への捻れ⇄肩甲骨の上・外方への移動⇄エネルギーは頭へ
に伴って鎖骨は肩甲骨と胸骨に挟まれて、鎖骨周辺の筋肉は硬直して、関節が詰まってしまいます。
そうではなく
小指優位⇄腕の外側への絞り⇄肩甲骨の下・内方への移動⇄エネルギーは骨盤へ
という使い方ができると胸が広がって、鎖骨までしっかりリリースします。
特に胸鎖関節と鎖骨の下に沿って出やすいコリ(硬結)などもリリースできる方法としてひとつ挙げておきます。
1。肩から二の腕は水平に、肘を90°に曲げます。
2。手は前回やったように小指・薬指をグッと握って親指・示指・中指は出来る限り開き、そのまま前腕を出来るだけ外側に捻って絞ります。
3。逆の手で鎖骨の下に手を当てここが動くように、肘を水平のまま後ろへ引きます。
4。さらにそこから肘を支点にして手を後ろに回します。
3。と4。を繰り返し行ないます。慣れてきたら親指を目で追って、腰も捻って連動させます。
ポイント:
1。と2。でしっかり小指からの連動性をセットします。
3。と4。で鎖骨までしっかり連動して、胸が開いてくることを確認しながら行ないます。
基本的には利き手側の方がキツく感じると思います。キツく感じる側を多めに行なってあげてください。
次回はもう少し鎖骨ー肩甲骨について掘り下げていきます。