今回のテーマは『腰は自然に反っているもの』です。
先日、コラムをお読みいただいている方からこんなご質問を頂きました。
『骨盤と腰について質問があるのですが、いわゆる腰痛につながる
そり腰と、骨盤を前傾させて適度なS字をつくることの違いはなんでしょうか?』
そもそも腰に反りがあるのは、人間が直立二足歩行するために、
どうしても必要だった進化のおかげです。
腰が反る(=アーチ構造)ことでクッション機能が働き、
私達の上半身は腰を通して上下にしっかり乗せて使うことが出来るようになっています。
じゃあ、「反り腰」はいけないことじゃないんじゃない?
と思われるかもしれませんね。
反り腰の問題としては、
「腰だけが反らなければいけない構造になっている」
「骨盤全体が過剰に反りのために参加させられている」
ということが挙げられます。
一言で端的に表現してみると、
腰が”自然と反っている”ためには、
・骨盤の真ん中にある「仙骨」が前傾する→腰の反りに参加する
・左右の大腿骨の上に乗っている「腸骨」が後傾する→脚の上にしっかり乗る
この「腰の反りを作る」と「脚(踵)の上に安定して乗る」という
2つのことを両立するためにとても大事なのが
「仙腸関節」という骨盤の関節なのです。
「腰だけが反らなければいけない構造になっている」場合
腰の下にある骨盤部分も、腰の上にある胸の部分も猫背傾向で→骨盤全体が後傾して落ちやすい
→腰の筋力を使って腰の骨だけに無理な”反る”力がかかる
腰椎に過剰な負担がかかるために、
腰の一ヶ所だけが”くの字”のように曲がってしまっている人もいます。
「骨盤が過剰に反りのために参加させられている」場合
骨盤ごと前傾させて腰を反ろうとするために
→骨盤全体が前傾しやすい
その結果、股関節の上で骨盤が安定して乗らなくなるために
→鼠径部(足の付け根)が曲がって股関節が伸びなくなる
→骨盤を前に倒して使うので、”つま先優位”、”膝が足の動きの中心”になる
というような動きや使い方になり、
”外反母趾”や”出っ尻”、”X脚やO脚”、”太もものお肉が付きやすくなる”
といったことも出やすくなります。
骨盤は左右の大腿骨の上に乗っている”腸骨”と
その真ん中に楔(くさび)のように挟まっている”仙骨”からできていますが、
この骨盤の「仙腸関節」が機能して
・「腰の反りを作る」
・「脚(踵)の上に安定して乗る」
重力にしっかり身体を預けることができるのが骨盤の大きな仕事になります。
反り腰に限らず、骨盤が腰の不調や姿勢などの悪さを起こす
大きな原因としてクローズアップされるのは
こういった理由からです。
腰は、骨盤の上で”反っている”のが自然なんですね。
骨盤を上手に使うためには、
脱力をして、重力(自分の身体の重さ)がどこにかかっているのか
を感じられる感覚を大事に取り戻していくことが近道になります。
・骨盤の真ん中にある「仙骨」を前傾させる→腰の反りに参加する
・左右の大腿骨の上に乗っている「腸骨」を後傾させる→脚の上にしっかり乗る
骨盤の操作は筋力で引っ張って表現するのではなくて、
重力を感じながら自然と行なわれて、
腰もそれに連動して自然な反りが生まれてきます。