血液というのは何をしているのか?
まずWikiで調べてみると体液(身体の中の何らかの液体成分)が体重の60%程度で、血液は体液のうちの4.5%にしか過ぎません。
少なく感じないですか??
血液は身体の細胞が生きるための輸送媒体です。
- 外から必要な情報を取り入れて細胞に届ける(IN)
- 細胞で要らなくなったり、有害な情報を外に返す(OUT)
血液は常に身体の外と内の情報交換(IN-OUT)のために身体中を回転しています。
細胞の中で活動に使われる液体(細胞内液)やその細胞の生きる”海”の環境になる液体(細胞外液)などを常に更新して、生きる環境を安定させてくれています。
およそ0.9%の食塩水が生理食塩水として脱水症状などのときにしばしば点滴に使われますが、通常は体内のこの環境を血液が回転することで常に安定して作られているのです。
血液が全身を一周するのにおよそ24〜25秒と言われますから、その速さはすさまじいですね。
人間の身体の中で外と接している場所は簡単に言うと皮膚と口から肛門に繋がっている消化管です。
特に消化管をはじめとした内蔵は血液を造って、回転させるための機関です。
消化管は内側にヒダ構造を造っているので皮膚の何十倍もの面積で外と接しています。
消化管の入り口側(口に近い側)には呼吸器があります。
呼吸器は特に気体成分の情報交換(IN-OUT)が行われます。
酸素などの必要情報を取り込んで、二酸化炭素などの不要情報を排出します。
この情報の交換、運搬に必要なのが血液の中でも赤血球といわれる鉄を含んだタンパク質です。
血液が赤く見える血液成分の赤血球はもともとこの呼吸器で造られていたのが起源だと言われています。
呼吸器よりさらに奥(肛門に近い側)に胃ー十二指腸ー小腸ー大腸ー結腸と肛門に繋がるいわゆる消化器があります。
液体・固体成分の情報交換(IN-OUT)はここがメインです。
情報を細かく消化して、身体が取り込んで使える形にして吸収します。
吸収したものをすぐに運搬出来るように消化器で自然発生的に血液がもともと造られていたということも言われています。
これらは腸管造血として最近特に脚光を浴びるようになってきています。
外との情報交換の最前線ではウィルスや有害な物質とのコンタクトも一番多いために、セキュリティシステムとしてリンパ組織(免疫機能)、白血球の製造も行われます。
こうしてみると血液は基本的には外と接する場所で造られるもので、消化管はその最前線に位置してることが理解できてきます。
造られた血液はどのようにして全身に分配させるのでしょうか?
自律神経系は交感神経と副交感神経のシーソーによって生きるバランスをとっているといわれますが、まさに自律神経系が血液の全身への血液の分配を決めています。
自律神経は、血液を運ぶ血管の筋肉のコントロールのための神経です。
副交感神経は内蔵などの発生起源が古い”生きる”ための組織への血液のコントロールをしています。
これらは無意識でも安定的に働いてくれる内側の組織です。
一方、
交感神経は進化とともに発達してきた骨格筋や大脳などの身体の外側の組織に繋がる血管のコントロールをするために生まれた神経系です。
交感神経が優位になる時は血液は外側の組織に優先的に運ばれます。
運動や思考などの人間特有の意識的な活動には交感神経が活動して、血液が”動く”ための筋肉や”考える”ための大脳に優先的に供給されます。
現代の私たちの生活を見てみると、運動といえばジムやフィットネスクラブ、娯楽と言えばゲームやインターネットなど、頭の快楽を追い求めることや意識的に身体を酷使することばかりです。
知らぬ間に血液の行方は外側の組織に引っ張られて、交感神経が優位な”興奮性”の生活スタイルになりがちです。
でもよく考えてみると、血液を造ってくれるのは内蔵であって副交感神経優位な内側の身体です。
血液を奇麗にしてくれるのも内蔵、内側の役目です。
気体成分は呼吸器・皮膚をメインにOUTされます。
固体成分は消化器や泌尿器、液体成分は特に泌尿器・腎臓でOUTが行われて、血液の奇麗さが保たれています。
血液は身体の中で必要な形で環境との情報交換が行われて、結局は不要になった老廃物やものは環境に返すところまでが仕事です。
この仕事は昔から、行動に発達した私たち人間でも全く変わらずに内蔵、そしてそれをコントロールしている副交感神経・ホルモン系に依存しています。
交感神経優位な頭(思考)や身体(運動)の使い方が血液を身体の外に引っ張って、血液の質を悪くしています。
そうなりやすい現代だからこそ、いままでより、少し意識の持ち方を見直すことが大事ではないでしょうか?
昔の人はこれを上虚下実とか頭寒足熱という言葉で表しています。
上・頭は交感神経の代表です。
下・足は副交感神経優位のいわゆる腹部と捉えられます。
血液が向かう場所は熱を持つので熱くなります。
常に腹・内蔵を中心に血液が回って下が熱く、頭が涼しいような状態で生活することが血液の質や回転をあげるコツなのだと教えてくれています。