背骨がS字状に湾曲していることは皆さんも知っていると思います。
『生理湾曲』といわれ、身体に掛かる重力を巧みに受け流すための構造ともいわれています。
仙骨ー腰椎ー胸椎ー頚椎ー後頭骨の境目と一致します。
この場所はいわゆる『移行部』と呼ばれています。
この『移行部』でしっかり背骨の『前湾』と『後湾』がいれかわっているか?
『移行部』は身体の重要なチェックポイントになります。
そして整体では同時に重要な調整の場所ということになります。
どうして『移行部』が大事なのか?
その特徴を挙げてみます。
①構造的な特徴→『前湾』も『後湾』もせず下の骨と上の骨が真上に乗る場所、身体を支える節のような存在
②神経的な特徴→神経の出所や重要な神経叢がある
③ホルモン的な特徴→重要なホルモン分泌器官がその付近に存在している
つまり『移行部』には構造・神経・ホルモンなど身体の内外の状態が反映されます。
逆にいうと
『移行部』が『移行部』らしく使われると身体はしっかり躍動する!!
といえます。
それぞれのS字の『移行部』をピックアップしてみしょう。
【腰仙移行部】…仙骨と腰椎の変わり目
仙骨は5つの骨がくっ付いて一つになっているが少し『後湾』した形
腰椎は腰の5つの背骨で、正常だと全体として『前湾』する。
〈この位置レベルのポイント〉
・背骨の土台、つまり姿勢の最大の土台になる
・神経としては座骨神経が出てくる『仙骨尾骨神経叢』がある
・ホルモンとしては『子宮』や『精巣』などの器官が近くにある
【胸腰移行部】…腰椎と胸椎の変わり目
腰椎は腰の5つの背骨で『前湾』
胸椎は胸の12つの背骨で『後湾』、肋骨が付いている。
〈この位置レベルのポイント〉
・胸以上の土台、肋骨の土台になる。猫背や肩の使い方、呼吸の質にダイレクトに関与
・神経としては『腰神経叢』がある
・ホルモンとしては『副腎』や『膵臓』などの器官が近くにある
【頚胸移行部】…胸椎と頚椎の変わり目
胸椎は胸の12つの背骨で『後湾』。
頚椎は頚の7つの背骨で『前湾』。
〈この位置レベルのポイント〉
・首以上の土台になるので、首や頭のコリや頭が身体の真上に乗れるかどうかに関わる
・神経としては『腕神経叢』がある
・ホルモンとしては『胸腺』や『甲状腺』などの器官が近くにある
【頚椎ー後頭骨移行部】…頚椎の上に頭が乗る
頚椎は頚の7つの背骨で『前湾』。
後頭部が頚椎の1番(環椎)の上に乗っている。
〈この位置レベルのポイント〉
・頭が乗る土台になる。頭の緊張や脳の血液の流れにダイレクトに関わる
・神経としては『自律神経』や『脳幹』がある
・ホルモンとしては『下垂体』や『松果体』などの器官が近くにある
『移行部』は構造・神経・ホルモンなどの身体の内外の状態を反映します。
背骨のS時の『前湾』と『後湾』反転する基点として、
身体のエネルギー的な『節』にもなっているのです。
脊柱の中でも特に『移行部』の重要性が見えてきますね。
次回は『移行部』身体の連動性の面から考えてみたいと思います。