前回のコラム『肩甲骨と鎖骨の位置関係』では鎖骨の重要性についてみてきました。
現在の社会生活は
座る・立つ・歩くの質(姿勢)
意識(精神)的活動・ストレス(頭)
パソコンなどの手先の過剰労働(手)
などの要素が肩甲骨を上・外方へ位置異常を引き起こすことが大きな問題でした。
肩甲骨は肋骨の上を滑るように動いていますが、上・外方へ位置異常を起こすことで、肋骨は上と外側から押さえ付けられて、動けなくなってしまいます。
肋骨の中には呼吸を行なっている【肺】が入っています。
肺は肋骨の内側に張り付くようになっていて肋骨と一体化しています。
つまり肋骨の動きが良くできれば呼吸の質は高くなります。
では肋骨の動きの軸はどこでしょうか?
肋骨は身体の後ろで背骨と繋がり、身体の前で胸骨と繋がります。
胸骨は鎖骨が繋がっていますが、その他に関節構造を持っていません。
関節構造に制約されないので、胸骨の動く範囲はとても広く周りの影響をうけて位置異常を起こしやすい構造といえます。
一方、背骨は上は頭と、下は骨盤へと繋がる身体の支えの軸となっています。
つまり肋骨の動きの軸は背骨(身体の後ろ)にあります。
背骨がしっかりと身体の中で軸として機能している時に、肋骨もしっかり動いて、呼吸力が高まります。
これは腕の使い方の時にも出てきた【エネルギーが下(骨盤)に向かう】身体といえます。
肋骨はバケツの持ち手のように上下に動く三次元的な幅があります。
胸骨と同じで周りの状態の影響を受けやすいという特徴があります。
肋骨の可動性を高める構造的なポイントは
- 肩甲骨が下・内方に集約する
- 背骨が軸として機能する身体の支持構造にする
- 脇の下から鎖骨に繋がる身体の前面の緊張をとる
です。
肋骨の可動性と呼吸による肺の伸縮性は同調しています。
肋骨に効く運動は前回の鎖骨の運動がとても有効です。
是非、やってみてください。
次回は、肋骨と共に呼吸に大きな【横隔膜】を考えていきます。