前回までのコラムで見てきた一連の構造的な特徴は、太ももに限らず下半身の様々な問題に繋がっています。
足の指が伸びない・足趾(ゆび)にタコができる・外反母趾・捻挫ぐせ・ふくらはぎなどの筋肉がつる・膝の痛みや変形・O脚・X脚・股関節の痛みや動きの悪さ など…
今回はそもそもどうしてこれほど【つま先優位】になりやすいのか、ということについて考えてみます。
【つま先優位】=【膝がバランスを取る】=【股関節が引ける】
構造的な歪みや使い方のバランスを乱すのはいろいろなことが要因となります。
①女性のヒールは強制的につま先で身体を支えることになる
ヒールが外反母趾やむくみの要因になりうることはよく認識されているところです。
つま先で支えた身体を膝を曲げてコントロールする癖が強いと膝周りの違和感や太ももの筋肉の発達や緊張を伴いやすくなります。
股間節を曲げてコントロールする癖が強いとお尻が引けて、骨盤が前傾して、反り腰になりやすくなります。
いずれにしても【つま先】からの連動性は骨盤の土台となる下肢の安定性を無くし、不必要な緊張を引き起こします。
骨盤は【前傾】・【後傾】・【開き】やすくなることで、骨盤のなかで活動している消化器系や女性特有の生殖器系の血行不良や不調を引き起こしやすくなります。
②ストレスや頭の使い過ぎがつま先を活性化する
意識が頭に常に残る身体の使い方が現在の生活ではスタンダードになりつつあります。
移動手段や、労働をコンピュータや機械に依存するようになるにつれて、以前ほど身体を使う必要性がなくなって、頭を使うため意識が上に浮いています。
人間が情報収集の大部分を依存している【目】が前についていることからもわかるように、意識が残る場所は前に残りやすくなります。
頭が前に残ることで背中や腰が後ろに引けるカタチでバランスをとります。
これが首から腰にかけての姿勢や違和感の出やすい構造(いわゆる猫背)を自然と作りやすくします。
さらに頭は5㎏くらいあって重く前に残っているために、身体の最終的な支えも身体の前に作らなければいけなくなります。
足裏は最終的に地面と接して身体を支える基底面を作ります。
足の前にある部分はどこですか?つま先ですね。
つまり【つま先に支えを作りやすく】なります。
整体でも足趾(ゆび)は頭・意識の状態が出る場所として調整によく使います。
③食べ過ぎ・冷たいものの取り過ぎがお腹を縮めて腰を引く
お腹が痛いときどうなりますか?
身体はお腹を抱えるように丸くなります。
消化器系のストレス、負担は腰を後ろに引いて丸くすることが分かります。
腰を引いた分、頭は前に、足の支えも前に移ります。
消化器系を酷使しても、身体はつま先優位になっていきます。
④不安や恐怖などの感情は腰が引けてしまう
怖かったり、不安だったりというネガティブな感情は無意識の内に腰が引けてしまいます。
前に進めなくなったり、腰が重くなったりしますね。
つまり感情からもつま先優位は引き起こされます。
整体では【股関節】という場所が感情ととても深い繋がりがあるとみます。
股関節が引けてしまう場合は、ネガティブな感情や情報の受け取り方をする感受性なのかどうかをよく確認します。
【つま先優位】を引き起こす要因は構造的な問題も当然ですが、感情やストレス、食生活などのその人の内面の感受性も色濃く影響していることが分かると思います。
【つま先優位】に影響があるということは、太もものお肉にも影響があるということです。
人の思考や感受性のエネルギーが身体を【つま先優位】というカタチをつくり、そして太もものお肉という形で表現されるということ。
内面的・精神的な発散をして自分の感受性を理解することが姿勢や身体の使い方を変えていくのにとても大きなことだということが分かります。