関節にかかる【トルク】

前回のコラム『姿勢維持と筋肉の使いすぎ』では【トルク】という考え方を挙げましたが、わかりにくいという声がありましたので、今回は【トルク】について解説します。

【トルク】は非常に身体を理解するのに役に立ちます。

この説明をするのに蛇のおもちゃ『にょろにょろスネーク』を探していました笑

一緒に探してくれたユキリンに感謝します!!

ありがとうございます!!

さて、【トルク】というのはWikipediaで調べると

トルク英語: torque)は、力学において、ある固定された回転軸を中心にはたらく、回転軸のまわりの力のモーメントである。一般的には「ねじりの強さ」として表される。力矩ねじりモーメントとも言う。』

とあります。

回転軸=関節軸と捉えると、関節運動の力学的な特徴を簡単にイメージできます。

『にょろにょろスネーク』の2つの”節”を上下の関節とみてみます。

上の関節と下の関節が垂直(真上)に位置している時は、重力は真上から掛かるので、安定して、左右に曲がることはありません。

一方、下の関節より上の関節の方が右にズレていた場合は、上の関節にかかる重力を下の関節が真下で受けられないので、下の関節の上で右に曲がる(倒れる)ことになります。

この左右にズレた分だけ重力の力で自然と下の関節を軸にして生じる曲がる(倒れる)力のことを【トルク】と表現しました。

下の関節に関して、上の関節のズレが少ない場合は、曲がる(倒れる)力は弱くなります。

逆に下の関節と上の関節の位置的なズレが大きい場合ほど、曲がる(倒れる)力は大きくなります。

実際には関節運動は曲がるだけでなく、関節面が滑る、捻れるなどの複雑な動きで一点の軸運動ではありませんが、大枠でつかんでくださいね。

人間の関節を上下の関係で見てみると、特に身体の前後の位置関係は、垂直(真上)ではなくて、前後にズレています。

このズレを補正しているのが抗重力筋です。

重力の下で生きている以上、このズレを補正しないと生きていけません。

だから、抗重力筋は常に無意識で働いてくれています。

『にょろにょろスネーク』にテープを貼ってみました。

下の関節に対して、上の関節が左に位置しているので、何もなければ下の関節には左に倒れる【トルク】が働きます。

テープを左に貼ることで、右に曲がる(倒れる)ことを防いでいます。

このテープが【トルク】に対抗する抗重力筋です。

太ももの大腿四頭筋という筋肉は、膝が曲がる、膝が支えになるコントロールをする筋肉です。

膝が曲がると膝の関節(下の関節)よりも股関節(上の関節)が後ろに位置することになるので膝の関節には後ろに曲がる(倒れる)【トルク】が働きます。これに対応して大腿四頭筋が常に緊張してしまうことになります。

姿勢の”良い・悪い”というのは、上下の関節の位置関係のズレを極力小さく押さえることで、筋肉の働きを最小限に抑えられるかどうか?という問題に置き換えられます。

【トルク】が最小限に抑えられる関節の位置関係を感覚して実現できる力が姿勢をキレイにして、必要以上の筋肉を使わないエコな身体作るのです!!

ズレることで生じる【トルク】が動く原動力にもなるのですが、それはまた別の機会にします。

重力と関節の位置関係から発生する【トルク】をコントロールする力がを磨くことが不要な筋肉の付かない身体、姿勢の良い身体作り といえます。

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