前回のコラム『基礎代謝のポイント』では基礎代謝について考えました。
基礎代謝量は女性より男性の方が高いのが一般的です。
この主な要因として、『筋肉の量』が挙げられます。
確かに筋肉は主な代謝場所なので、筋肉の量が多いほど代謝は高くなります。
そこで代謝アップによく言われるのが【筋トレ】です。
一般的に筋トレとは特定の筋肉を鍛えるために、【意識と負荷を集中】させます。
特定の筋肉に負荷を与えて【収縮する力】を高めます。
こうすることで特定の筋肉の【収縮力】と【収縮のスピード】を鍛えます。
筋肉量が増えて、筋肉運動の強さが向上し、当然”筋肉の”代謝も上がります。
翻って、この【筋トレ】の特徴を、逆から見てみると
- 特定の筋肉に集中するので、意識が特定の筋肉に居着く
- 筋肉が常に緊張したままになる(硬くなる)
ということが言えます。
筋肉は神経を通して指令を受け、【緊張・収縮】する組織。
【緊張・収縮】するためには、そもそも指令を受ける前は【リラックス・弛んで】いないとできません。
つまり筋肉組織が働く基本は【リラックス・弛緩】にあります。
意識が特定の筋肉に残っていると
→全体性・連動性・協調性が薄れやすくなる。
→特定の筋肉を使って”力ずく”で動く傾向が強くなる。
という問題が起こりやすくなります。
例えば、太ももの前には【大腿四頭筋】という筋肉があります。
太ももの後ろには【ハムストリングス】という筋肉(群)があります。
- 【大腿四頭筋】は股関節を→屈曲(曲げる)
- 【ハムストリングス】は股関節を→伸展(伸ばす)
こんなふうに、筋肉には必ず逆の作用をするパートナーが存在します。
これを【拮抗筋】といいます。
拮抗筋は一方の筋肉が【緊張・収縮】すると
強制的に引き延ばされてしまいます。
が、その反動で、より強く【緊張・収縮】するようになります。
つまり【引っぱり返す】ようによりつよく【緊張・収縮】するのです。
こうして特定の筋肉に意識や緊張が居着くと、全体のバランスを連鎖的に【緊張・収縮】へ傾けやすくするリスクを高めるのです。
筋トレなどで特定の筋肉が強くなりすぎることで、ケガを誘発していると思われるケースは本当によく観られます。
逆に言うと、
トレーニングをこんなリスクを踏まえて行なえるとより身体に効果的なものにすることができるのです。
身体に良いと思って行なっていることが、
身体の負担になることはよくあります。
身体の基本的な性質を理解して、身体と向き合うことが大事ですね。
次回は、筋トレで集中した意識を居着かないようにリリースする、
もしくは緊張をさせた筋肉を全体性の中に戻すために効果的なことを考えていきます。